なぜ半分も削るの?酒造りの第一歩「精米」の秘密|新潟の酒蔵|高野酒造株式会社|

コラム

普段、皆さんが飲んでいる日本酒のラベルに「精米歩合(せいまいぶあい)50%」や「60%」といった数字が書かれているのを見たことはありませんか?

ご存じの通り、精米とは「米を削ること」を意味します。

玄米を100%としますから、50%ならお米を半分削っていることになります。

(イラストイメージ)左:精米歩合100%(玄米) 右:精米歩合50%   

「せっかくのお米をどうしてそんなに削ってしまうの?」

そう思う方も多いと思います。でも、これには美味しいお酒を造るためのとっても重要な理由があるんです。

今回は、酒造りの基本中の基本、「お米を削る(精米)理由」についてお話しします。

お米の外側は「栄養」だけど…酒造りでは「雑味」?

私たちが普段食べているご飯は、あまり削りすぎると栄養がなくなってしまいます。

なぜならお米の外側には「タンパク質」や「脂質」などの栄養がたくさん含まれていて、これがご飯の旨みや甘みになっているからです。(普段食べているお米の精米歩合はおおよそ90%程の事が多いです。)

しかし、日本酒造りにおいて、このタンパク質や脂質が多すぎると、お酒の味に「雑味(ざつみ)」が出てしまう原因になります。

目指すのは中心にある「でんぷん」

お米の中心部分には、「でんぷん」が多く詰まっています。

日本酒の発酵にはこのデンプンが不可欠です。

また、精米を高めて外側のたんぱく質や脂質を削りとると、香りもフルーティになりやすくなります。

外側を削り落とす = 雑味の原因となる成分を取り除く。

中心を残す(磨く) = クリアで綺麗な味わいと、華やかな香りを引き出す

つまり、お米を削れば削るほど、雑味がなくなり、スッキリとした綺麗な味わいのお酒になりやすいのです。

大吟醸酒などがフルーティーで飲みやすいのは、お米をたくさん磨いて、中心の美味しいところだけを贅沢に使っているからなんですね。

削り具合で変わる個性

もちろん、「削れば削るほど良い」というわけではありません。

あえてお米をあまり削らず、お米本来の旨みやドッシリとした味わいを残した「純米酒」なども、また違った魅力があります。

これまでの話を当蔵のお酒で例えるなら……

[越路吹雪 大吟醸50]
は精米歩合50%で、スッキリ綺麗な味わい。

[越路吹雪 純米70]
は精米歩合70%で、お米のコクを感じる味わい。

このように飲み比べてみると、その違いがよく分かりますよ!

いかがでしたか?「お米を削る」という工程一つにも、造り手の「どんな味のお酒にしたいか」という想いが込められています。

日本酒を飲む時は、ぜひラベルの「精米歩合」にも注目してみてくださいね。

 

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